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「来月楽しみだねー。アリスもドレス着ていいんだよね?」
3人で晩御飯のカレーライスを食べ終わった後、アリスは、リビングのソファーに寝転びなりながら、まだダイニングテーブルに座って缶ビールを飲んでいる二人に向かって声をかけた。
そんなアリスに、「明美お姉ちゃんも呼ぶから、二人のキレイなドレス姿を見てもらおうね」と利根優子も笑顔で応える。
高橋はそんなアリスと、利根優子の楽しそうな顔を交互に見つめながら、自分の中から自然に溢れる笑顔と、そして目尻に溜まった涙に気づき、そっと拭った。
「あーっ、かちょーさん泣いてる!!」
不意に二つの方向から同じ指摘が飛び、高橋は慌てて目の前の缶ビールを飲み干した。
利根優子が今の支店に来て3年なので、二人が西町支店に赴任したのはもう4年も前になる。
4年前、同じ日に同じ支店に赴任してきた二人がこうなるなんて、誰も予想できなかった。自分ですら、何故こうなったのかは説明できない。
高橋にとって彼女は、“部下”から“友人”になり、そして色々あったが、今や“世界で一番守りたい存在”になった。
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