1度きりのさようなら。

2/3
0人が本棚に入れています
本棚に追加
/3ページ
あたしは思わないんだよね。だって「ずっと一緒だよ」って言ってたお母さん、今もう一緒にいないじゃない。人とか…動物もそうだけど、あたし、生き物って孤独だと思う。生まれる時、もちろんそこにはお母さんがいたけど、一緒に生まれてきたわけじゃないでしょ?ずっと一緒だよなんて言ってた友だちも、クラスとか学校が変われば疎遠になったし。 あのね、お母さん、あたしの目の前で死んだの。おうちが家事になってね、あたしの上に覆い被さって。あたし逃げたかったのに、お母さんが手握ってて。柱が倒れてきても、あたしの手離さなかったの。「ずっと一緒だよ」って。結局お母さんだけ死んじゃって、気付いちゃったんだよね。人って生まれた時から死ぬ時まで、独りなんだなーって。 あ、でも知ってる?手を繋いでる時ってお互いの粒子が混ざりあってるんだって。その間は一つになれちゃうってことなんだよね。素敵だと思わない?手繋いだだけでそうなんだから、セックスなんてしたらどうなっちゃうんだろう!って。そう思いはじめたらもう凄くなっちゃって。 だからね、余計にね、人肌恋しくなっちゃうの。死ぬ時独りなら、せめて一瞬だけでも誰かと一つになれたらって。 (そっか。それで、こういうことするようになったんだね。) うん。 (君は独りが嫌いなんだね。) 独りは寂しいから好きじゃないかなぁ。明るい時間は外にたくさん人がいるから独りでも寂しくないの。でも、夜は静かすぎて。だからね、毎晩色んな人に声掛けて、一緒に寝てもらうの。たまにそういう人見つけられなくて独りで寝ることもあるんだけど。     
/3ページ

最初のコメントを投稿しよう!