ここは伊豆の妖精さんたちが集う楽園(願望)

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ここは伊豆の妖精さんたちが集う楽園(願望)

「んおおおおもうらちがあかないから!!! おまえうちに住め!!!」  という熱烈な要請を受けて、本当に引っ越すことになった。  ちなみに返事は 「あんんだとおおお住民票だって移動してやるからな!!!」  それでスーツケースひとつぶん。荷物はこれだけ。  服なんかはどこでだって買えるだろうから。では、この中に何が入っているのかというと、それこそどこでだって買えるスケッチブックや画材なのだけれど。  指定された駅に着くと、観光客が何人か一緒に降りた。スーツケースを持っている彼もまた旅行者に見えたかもしれない。駅前はバスや迎えの車が駐車できるようなスペースになっていて、旅館の名が入ったシャトルバスが待機していた。駅前には一応コインパーキングがあるが、東京に比べて駐車料金が驚くほど安い。  待ち合わせの時間は間もなく。指定された場所で待っていると、一台の青い車がやってきて目の前に停まった。ルノーのカングー。 「イカフライさん、ですか?」 「Qさん。ですね。はい。わざわざお迎えありがとうございます」 「どうぞ、後ろの席に荷物を入れて。……ほんとうにそれだけで来たんですね」 「はい」     
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