919人が本棚に入れています
本棚に追加
/274ページ
「ああ……そういえば」
そういえば、初めから友宏は言っていた。ずっと光司の恋人であることは変わらないけれど、大事だし、ずっと一緒に暮らしていたいのだと。
プロポーズかと思ってどきどきしたのに、忘れていた。
やっぱり、友宏の方が大人だ。心の決め方も、きちんと話してくれるところも。
「お前、結構眠いんだろ。顔、ぼーっとしてる」
「うん……そうかも」
「寝とけよ。ちょっとしたら起こすから」
「お腹べたべたでやだ……」
「いまシャワー浴びたら倒れねぇ?」
「倒れる……ティッシュ……」
「あー……まって」
友宏がベッドから降りていなくなった。手近なところにティッシュがなかったらしい。隣の部屋まで言って何かごそごそやっている物音を聴きながら、動けなくてあくびをした。意識してみれば全身ガタガタで、特にお尻がやばい。
「睦月、ほら……睦月?」
友宏が戻ってくる気配がして、恥ずかしくなって目を閉じた。
「寝た?」
寝てるフリだったけれど、友宏は騙されてくれる気がした。
「……冷たくても起きるなよ」
最初のコメントを投稿しよう!