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「さあ。計画って言っても、殺人でしょ? 突然殺したくなったかもしれないし。わかんないなあ」
紗川は肘をつき、彼女を見つめる。
「では、質問をさせてください。女優はマンションの中で殺されましたか?」
「マンションの中で殺されてるよ」
「そうですか。質問は以上です」
「それだけでいいの? どんなふうに殺されたのかとか、そういうのは?」
「この場合、殺し方は関係がありません。刺そうが締めようが打とうが、なんでもいい。貴女も死因は全く話していなかった。だからこれはこの話では重要ではないのでしょう」
「重要じゃないって……死んでるのに」
「犯人当て――つまりクイズじゃないですか。気楽に答えて構わないでしょう?」
紗川はフレームレスの眼鏡のブリッジを軽くあげるとほほ笑んだ。
「ああそうだ、せっかくだからもう一つ伺ってしまってもいいでしょうか」
「なあに?」
「彼らのそれぞれの身長、大体でいいので教えていただけませんか?」
「マネージャーが2メートルくらい。ADが165くらい。同僚は160くらいかな」
「ありがとうございます」
紗川は彼女の耳元に唇を寄せた。
愛の言葉を告げるように、心地の良い声で、甘くささやく。
「では犯人は、カースタント……貴女の同僚です」
女が目を見開き、やがて静かに顔をしかめた。
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