【8】錯綜する思い

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「すまない。傷つけるつもりはなかった」 「……怖かった」  成世がぽつりと呟いた。 「同じ目をしてた」 「なんだ?」 「乃木さんの目、怒った時の親父と同じ目をしてた」  成世の喉が鳴る。  声が掠れ、これまで成世が恐怖で震えていたのが、はっきりと分かった。 「そんな目で俺を怒ったのは親父と乃木さんだけだ」  ――本当に二人だけだ。  成世は涙も拭わずにそう言った。
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