11

18/18
658人が本棚に入れています
本棚に追加
/111ページ
 ゆっくりと目を開けると、目の前に深く眠っている葛西の顔があった。驚いて、でも葛西を起こさないように身体を固める。  二人の間にはケイトが丸まっていた。裸の肌を撫でる毛がくすぐったかったが、それも堪えた。  ベッドの上から出来る範囲で視線を動かすと、開いたままだった書斎のドアが目に入り、日向ぼっこが好きなはずの猫達が、書斎の床で丸まって昼寝をしている。  一人の城だった家に、十匹の猫達がいて、自分を抱きしめてくれる葛西がいる。大好きなものに満たされた空間。  なんて幸せな夢。  だけど、くすぐったさも抱きしめてくれる腕の強さも夢ではない。  ああ、独りじゃない。  もう一度目を閉じると、あたたかく幸せな夢の中で、涙が溢れた。
/111ページ

最初のコメントを投稿しよう!