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「かずや」
しばしの間、直哉は口を離した。その間も手で刺激するのは忘れない。それでも少し余裕が出たのか、和也は息を整えた。
「なんですか?」
「俺のこと好き?」
和也の態度を見ていれば、それは嫌でもわかる。
しかしちゃんとした言葉で聞きたいと思ったのだ。
二人の性交は今まで、欲求を解消するためのものだった。しかしこれからは違う。有り体にいえば、愛を確かめるための行為となったのだ。
ならばちゃんと、和也の想いを聞きたい。
「はい、もちろん。好き……、ですよ……」
照れているのか、言葉が尻すぼみになっていく。
しかし欲しい言葉は聞けた。ならば、直也もお返しをせねばならない。
「俺も、和也のこと好きだぜ」
「ぼく……、うぅっ……」
今までのことを思い出したのか、和也の頬にポロッと涙が一筋伝った。
こんな言葉で泣くほど喜ぶのだから、もっと言えば過呼吸でも起こすのだろうか。見てみたい気もするが、今やると確実に中断せざるを得なくなるのでやめておく。
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