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同室の早川一仁が夏休み以来なんだか様子がおかしいことに、木村拓実は気づいていた。
私立丞元男子高校の学生の三分の一は寮で生活している。拓実は二年になって一仁と同室になった。クラスは違ったが、授業が終わればクラブに所属していない二人はたいてい一緒にいる。
(だとしたら気づくのは当たり前だ)
拓実はそう思ったそばから否定している自分を知っている。
いや、俺があいつのどんな変化にも気づいてしまうのは……俺が早川を好きだからなんだ。
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