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「ねーねー委員長~。私、このあと塾なんだけど掃除当番代わってもらえない~?」
そう言って手を合わせて頭を下げたのは、学年で一番綺麗で男子から評判の高い女の子。
名前は結城さんだっけ。彼女の茶色い髪のつむじ頭を見つめて、手に持った箒を握りしめた。
「……うん。分かった」
「本当!?助かる~!じゃあ、お願いします~」
私の返答に顔を上げ嬉しそうに微笑む結城さんは、スクールバック片手に小走りで教室を出て行く。誰も居なくなった放課後の教室に溜め息が響いた。
塾じゃ仕方ないよね。さっさと終わらせちゃお。
高校に入学して一ヶ月。私、平子 光里(ヒラコヒカリ)は入学早々に学級委員と言う大役を任された。小さな頃から自己主張が苦手な私が意見出来るわけなくて、ずるずる今日までやって来た。
カーテンを閉めようとして、運動場で結城さんがクラスの女子と楽しそうに帰ってくのが見る。
……結城さん。塾、間に合うと良いけど。
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