第3章 ワナを仕掛ける!

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「ちょっと二人とも言い合いは止めてよ! ここで怒鳴りあっても、何の解決にもならないでしょ!」  滅多にないことだが、櫻子が止め役になった。  のどかも京也も難しい顔をしたまま黙ってしまっている。今朝以上に部室内がどんよりとした重たい空気に包まれた。誰もが事件の解決を望んでいながら、それが出来ない現状に皆、焦燥感が募っていたのだ。 「ほらほら、そんなに怒ってばかりいたら、口があんぐり開いちゃうわよ。『アングリー』な気分だけにね」  突如、部室に魔法使いが姿を見せて、再び、くだらないダジャレでもって一瞬で重い空気を取り払ってしまった。温和な顔をした魔法使いは、当然のような足取りで部室の中に入ってくると、長机を挟んで睨み合っていたアリスとコウの顔を順番に優しい眼差しで見つめた。 「アリスちゃんもコウくんも、少し頭を冷しなさい。あなたたちが何をしようとしているのか知らないけれど、こんなところで仲間割れなんかしていたら、いつまでたっても良い結果は絶対に生まれないわよ」  普段はおっとりしたイメージのあるほのかの珍しい大人の言葉に、アリスもコウもバツが悪そうな表情を浮かべるのだった。 「ごめんなさい、ほのか先生」 「すいませんでした、ほのか先生」     
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