あっちっち!

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これは、私が7歳の時のお話になります。 私には当時2歳の妹がいたのですが、この妹がまあよく喋る妹でして………って、言っても単語をオウム見たいに繰り返したりとか、私の言葉を真似したりとかだったんですが、そんな妹が面白くて私は大好きでした。 そんなある冬の日のこと、私の当時住んでいたK県の地方では年末近くになると、木材で5mくらいの高さの山を組んで燃やし、その年の厄や煩悩を祓い新しい年を迎えるという風習がありました。 何せ地方の田舎町でして、大きなイベント等がなかったので私は幼心にその風習を楽しみにしていました。 当日、大人達が組んだ木材に地域のお偉いさんらしき人が火をつけて、子供達はというと私も含めてですが、燃え盛る炎に盛り上がりました。 妹は初めて見るその光景に目を輝かせて興奮していて、もっと見ようと思ったのでしょう。 グイグイと私の手を引っ張って火に近づこうとしたのです。 私は慌てて妹を抱えて、妹にこれ以上近づいたらあっちっちだからダメだよ!と注意しました。 妹はキャラキャラ笑いながら、あっちっち!あっちっち!とオウム返ししていて、私はそんな妹を微笑ましい気持ちで見ていると、それまで火を見てあっちっち!と繰り返していた妹が、クルリと方向転換するなり、ある人を小さな指で指してあっちっち!あっちっち!と言い出しました。 指したのは、近所に住む私の同級生数人でした。 妹は一人一人小さな指で指して、あっちっち!あっちっち!と繰り返し、私は不思議に思ったのですが、その時はあまり気にしませんでした。
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