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気付いた時には
荒巻智也と鍋島則之には体の関係がある。
最初は好奇心で体を繋げたが、智也は今ではその快感の虜になってしまっている。
自分と同じ性別に征服される背徳感は、鍋島と関係を持つ前まではノーマルな嗜好であった智也の性癖を大きく変えた。
関係を持ったのは鍋島が初めてだったが、正直女では味わえないものを鍋島は与えてくれる。
智也自身受け身でいることの方が好きなのか、自分とそう変わらない大きさの口で息を奪われるようなキスは女はしてくれない。
女にはないごつごつとした指で体の中を暴かれるのは、何とも言えない高揚感があった。
智也と鍋島は中学校からの同級生だった。高校は別の所に進学したが、大学でまた一緒になったのだ。
といっても高校時代も家が近いので顔も頻繁に合わせていたし、どこかに出かけたこともあった。
二人とも家からギリギリ通える範囲の大学に進学したせいか、周りが引っ越し準備などで慌ただしい中のんびりと大学入学前の休みを過ごしていた。
その日は二人ともバイトもなく、どこかに行くわけでもなく鍋島の家で雑誌などを読んで時間を潰していたように思える。
だから最初にその言葉を鍋島の口から出てきた時にはあまりにも気軽に言われすぎて、意味を理解するのに時間が掛かった。
『男同士でもSEX出来るって知ってた?暇だからやってみようぜ』
子供のころ『公園の裏にある湖にでっかい鯉が出たから釣りに行こうぜ』と言ってきたテンションと同じように。子供の時には絶対に言うような単語では無いものを添えて。
だが誘われた智也にも好奇心はあったのだろう。だからこそ鍋島の誘いに二つ返事で答えたのだった。
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