エピローグ

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「しかしさすがに首が切り落とされてるのを見た時には、もう手遅れだと思ったよ」  私はずれた銀縁眼鏡の位置を直しながら、彼にそう話しかけた。 『実際、もう少しで手遅れになるところだったな。いくら処置を受けていたとはいっても、首だけで生きていられる時間はそう長くない』  彼が死体として処分されるという情報を得た私は、その前に彼に会わせるよう外交ルートを通じて圧力をかけた。しかしながら、ぎりぎりのところで間に合わなかった。というよりは、あの法相達が間に合わせなかったのだろう。ともかく、許可が得られたのはまさに彼の断頭が行われた直後だった。  だが、ある意味では間に合ったとも言える。  彼が法相達に悟られないよう目線で合図を送ってきたのに気がついた私は、せめて彼の遺体を引き取りたいと申し出たのである。  彼には遺体を引き取るような家族はいなかったため、法相達はあっさりと承諾した。彼が既に死んだものと思い込み、油断していたというのもあるだろう。  無理も無い。  先刻の空港職員もそうだが、胴体と首が切り離されているのを見れば誰だって死んでいると考える。  ともあれ、彼の頭部と胴体はそれぞれ、速やかに保護液へと移すことができた。  この後、私の国で接合手術が行われる予定である。
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