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「初めて会った時から一度も優しくしてくれない貴方のことを、何故未練がましく好きでいなくてはいけないのですか?」
僕がそう言うと、よーちゃんの瞳が不安そうに揺れるのが見て取れた。
「……言い忘れていましたがね。
僕はもうすぐ結婚するんです」
よーちゃんの瞳が大きく見開かれた。
驚いた。
本当に知らなかったのだろうか。
僕に少しでも興味があれば、当然知っていただろう。
新聞でもインターネットでも大きく報道されていた。
「……嘘だっ……!!!」
血の気を失ったよーちゃんの顔。
「嘘ではありませんよ?」
そう答えたのは、僕ではなく、僕の背後に立っていた僕の番だ。
さっきから僕の後ろに居たのに、よーちゃんは全然気付いていなかった。
「……お前はっ!!!!」
彼はよーちゃんと、そっくりの顔立ちだった。
でも、よーちゃんの表情は驚きというより恐怖、だった。
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