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【始まりの桜】
日本には四季がある。
花が咲き誇る春、暑い日差しを浴びる夏、落ち葉を踏みしめる秋、白い雪が舞う冬、
どの季節が空きがと問われたら、春と答えるだろう。
だって桜が信じられないくらい綺麗だから。
今年も一人で家から電車を乗り継ぎ《桜の道》と呼ばれる公園まで花見に来た。
時期は満開から数日経ったところ。私は満開より風で花びらが舞うこのくらいの時期がいい。
散り行く桜もまた綺麗。適当なベンチに腰を掛けさっきコンビニで買ったお茶を一口飲む。
そして桜をゆっくり、ゆっくりと見上げる。
桜、五枚の花びら
そこにはいったい何がつまっているのか
風が吹き花びらが舞う
桜の精霊が私たちを歓迎するようで
見入ってしまう
小さな子供を連れた親子。子供のほうは桜吹雪が気に入ったらしく、さっきから風が吹くたび体中で喜びを表している。そんな子を見て私にもあんな時期があったのだろうかと考えさせられる。
楽しい、嬉しい、それを恥ずかしげなく表現する
悲しい、苦しい、これらを閉じ込めるのは得意だ
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