ファンタジー

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「勇者」とは何か。 概念など存在するかはわからないが、大半は剣を持った者だろう。 そういった意味では、私は珍しい部類かもしれない。 なぜなら剣と魔法の両方を得意としているからだ。 これは単に「魔法も使える剣士」ではない。 いわゆる魔法剣士で、剣術・魔術共に極めており剣士としても魔法使いとしても戦力になると自負している。 おかげでパーティーも特殊だ。 剣士の枠と魔法使いの枠は埋まっているからだ。 魔法といっても範囲は広く、攻撃系の魔法使いがいるのなら回復系を得意とする魔法使いの需要はあるものだが、 あいにく私は両方極めてしまっている。 しいて言えばドアや宝箱のカギを開ける呪文が唯一苦手な魔法だが、 そこは盗賊がいればまだOKで、やはり魔法使いを1人増やすまでとはいかない。 但し盗賊もパーティーには必要ない。 私はマジック(手品)も得意なのだ。 これは魔法使いの修行を始めた当初に勘違いから極めてしまったのだが、 マジックには素早い手の動きや、相手をだます技術が必要になる。 それは物を盗む時に大いに活かされている。 勇者が盗みとは変な話だが、モンスター相手ならそういった能力も必要である。 では武術家はどうか。 そう、私は武術も得意である。 25歳から空手を始めた比較的遅いスタートだが、3年後には県大会の決勝までいく実力となっていた。 戦力としては劣るかもしれないが、商人はどうか。 過去の勇者のパーティーにはそんな職種の人間もいたと聞く。 残念、私の実家は八百屋だ。 数年後、私の厳しい審査を突破した「私にない能力を持った者たち」と共に、 私は魔王を倒した。 ここに勇者一行の名前を刻んでおく。 勇者 私 ・剣と魔法と武術でほぼ全てのモンスターを退治。 道中で各種免許も取得し、車や船での移動・異国での通訳やテント設営なども担当した。 コック 川田さん ・料理人。いろんな国の料理を作れた。 ある程度武術もできるようで蹴り技が得意と言っていたが、 武術は私で足りているので、料理専門となってもらった。 詩人 チャコさん ・路上で自作のポエムを販売していた。 元々は俳句で有名な方のようだったが、ポエムに目覚めたらしい。 旅の日記をつける担当になってもらった。 税理士 江原先生 ・確定申告をやってもらった。
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