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金曜日だった。
終業時間が過ぎ、サーバーに異常はなし。
夜勤の人に受け渡し、僕は素早く帰宅する。
普段なら。
だけれど、趣味で書いている乙女小説の書きためには余裕があるし。
部長は頼んだ仕事をチェックもせず帰るし。
暑さに頭はやられているし。
色々と言い訳をしたけれど、僕は久しぶりに夜遊びしたかった。
新宿二丁目。眠らない街。
オカマバーのママと話したっていいし、適当に知らない人とお酒を呑んでもいい。
いっそ一人で呑んでいたって、眺めるもの全て面白い。
そんな空気を久しぶりに吸いたくて、僕は会社から出てすぐに電車に飛び乗った。
めずらしくまともな恰好をしていたというのも、実は理由の一つにある。
シンプルな白いシャツの、上のボタン二つを開けて。
僕は二丁目に降り立った。
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