アルバイトの面接と生徒たちとの出会い②

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「自分が能力者であるということを自覚していただけましたか。ずいぶん熱心に考えているようでしたが。」 「瀧さんの思い違いではないですか。私に何か特殊能力が宿っているとは思えないのですが。」 「そんなことはありませんよ。私には能力者がわかる力があるのですよ。ちなみに私の能力は他人がどんな能力を持っているか相手の目を見ればわかる。そんな能力ですのであなたのことも目を見て判断しました。」    瀧さんが自ら能力者について話し出したので、予想はしていたが、やはり瀧さんは能力者であった。そうなると、能力者について詳しいことにも納得できる。 「では、お聞きしますけど、私の能力はどんな力ですか。差し支えなければ教えていただけると嬉しいのですが。」 「それは秘密です。教えてしまっては面白くないでしょう。ご自分で考えてください。そのうちに答えがわかると思いますよ。」    回答をはぐらかされた感じがする。いったい私の能力は何なのだろう。気になるが、今は自分の能力について考えている場合ではない。   「ただわかるというだけの能力ですが、この能力は私が人生を楽しく快適に過ごすためになくてはならないものです。危険能力者との接触を避けたり、うっかり能力者同士の争いに巻き込まれても、相手の能力さえわかれば、大抵のことはどうにかなる。さらには最終的にこの能力のお蔭で今の仕事につけたわけですから、この力があってこその人生です。」    自分の能力がどれほど役に立っているのかを主張する瀧さんある。この人はどこか頭のねじが緩んでいるのだろう。
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