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夏の海での悲劇
気がつくと健二と綾は、海に投げ出されていた。
綾は気絶している様でそのまま沈んでいく。
健二は一生懸命、彼女に近づき、右手を伸ばす。
一瞬、指が触れ合った。その瞬間ギュッと握りしめた。
唐突に、乗っていた船が起こした横波が二人を襲った。
二人とも一瞬で波間に飲み込まれる。
はっと気づくと、健二は綾の手を離していた。
海中を見ると、綾が青い海に沈んで行くのが見えた・・・
そして、青の先にある黒い海に呑み込まれ、見えなくなった。
「何故、手を離したんだ?」 「何故だ?!」
健二は叫びながら目を覚ました。
またいつもの夢だ。
あれから10年が経ち、夢を見る頻度は減っている。
しかし、あの記憶は未だに健二の胸に大きな傷跡を残している。
あの時、健二と綾の乗ったフェリーが、突然の衝撃を受け、
デッキに居た二人は海に投げ出された。
事故の原因はフェリーの前をモーターボートが横切り、
フェリーが急速回頭をした為だった。
綾は翌日、青い海の底から遺体で発見された。
健二は自分の失敗を、ずっと後悔をしていた。
(“次は”、絶対離さない!)
健二は、あり得ない”次”を現実化する為の技術開発を大学の研究室で黙々と続けていた。
「タイムマシン」の開発を
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