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醜く絡まりすぎてしまった血の絆は、いつまでも体中を廻るだろう。
けれどそれを汚いと悲しむより、過去にしてしまった方が楽なのだと。
兄はそれを教えたかったんだ。
陽がこれ以上苦しまないように。
「達也…ぼくは…」
何かを伝えようとした唇は再度塞がれた。
今度は達也の逞しい胸が合わさった。
包み込まれる大きさが気持ち良過ぎる。
このまま離れたくないくらいに。
どうして達也はいつもこんなに暖かくて真っすぐなんだろう。
「泣くなよ」
キスの合間に囁く声が震えている。
まるで達也の方が泣いているみたいだ。
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