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 誘ったのは自分。  達也に好かれているといい気になって、受け入れてもらえると自惚れて、寂しい気持ちの拠り所に利用しようとしている。 「謝るなバカ…、こんな時に」 「おれ…お前が弱っているのに付け込もうとしている。友達でいようって言ったのに…、情けないくらいに陽が好きだ」 「達也は優し過ぎるだけだよ。ありがとう…ぼくもごめんね。泣いたりして…みっともないね」 「陽…」  兄はお見合いで紹介された女性と結婚する。  自分との関係をどうするのか、この先どうなるのか、何も言わないまま、逃げるように離れていく。  ずるいとか、卑怯だとか思う反面、兄の本当の優しさを思った。  自分たちの絆はいつかは断ち切らなければいけない。  そんな常識を教えるために、兄は自分の気持ちを殺して陽から離れるのだ。  陽を解放するために。
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