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「うちの親父って、新しいもの好きで、珍しい物はすぐ買っちゃうだろ?」
「ああ、お前んち金持ちだしな。でもすぐ飽きるんだろ? 知ってるよ」
そう言ったタツに、イッキも同意する。
「そうなんだよ。そこでだ……帰りに家に寄れるか?」
タツとイッキは顔を見合わせてから、不思議そうに呟いた。
「おぉ……別にいいけど…」
僕んちは旧家で、代々受け継がれた家と土地に住んでいる。
5年前、(倒壊の危険あり)と市の行政から指摘を受け、去年2世帯住宅に建て替えたばかりだった。
2階の間取りは3LDK。だから1階の広さは想像つくと思う。
僕はその2階の一室を自分の部屋として使っていた。
ただ、いつか兄貴が結婚したら、そこから追い出される事になっている。僕らの地域では珍しくない話だ。
それに完全な2世帯住宅だと、1階と2階の玄関は別。つまり2階から入れば、ウチの親に気を使う必要がないのだ。
それをいい事に、タツとイッキは、まるで我が家の様に入って来て、キッチンの冷蔵庫を開ける。
「イッキ、俺コーラでいいや。それにしても締め切ってたから、暑いなここ」
タツがまずリビングの冷房を、慣れた手付きで操作した。
「タツ、設定温度16度、風量最強にして」
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