夏が来た

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 バック中には、本体、空テープ、バッテリー、充電器、説明書が丁寧にビニールに包まれていた。    「これのっぽんのお父さんのだろ?」    「そう。でも既にお蔵入りと言うやつさ。飽きたんじゃない?」    「マジか……でもこれで何をするんだ……まさかパンチラ…」    「おい! いかがわしい事考えるなよ。映画を撮るんだ」    「はあ?」  「えっ?うそ」  タツが驚いたのはもちろんだが、さすがのイッキも反応した。    「ビデオデッキも2台あるから編集も出来るし」    「そうかも知れないけど……映画なんて……俺たちが撮るのか?そんな事出来るのかよ」    「やってみないとわからないだろ」  僕はそう言って、バッグからソニーHi8と取り出して、電源を入れた。イジェクトを押すとキュイーンと独特の繊細な機械音がした。  そこに、Hi8専用テープを挿入する。    「おい、録るなよ」    「ハハ。はい録画しまーす」    「ばか、恥ずかしいって」    その時だった。  2階の玄関の扉がゆっくり開いた。    「オス! のっぽん来たよ?」「こんにちは~」    制服姿の女性2人が玄関に立っている。    「よう。待ってたよ」       
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