プロローグ

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肌寒さを感じて薄っすらと目を開ける。 体のあちこちがギシギシと痛む。 「さすがにソファで寝たらあかんわ...もう若くないしな」 独り言なんて寂しすぎるとふと可笑しくなりながら身体を起こし伸びをした。 何気なくテレビをつけると、やけにキリッとした自分の顔があってギョッとする。 「寝覚めわる...」 オレの職業は所謂アイドルというやつで、去年撮った映画のCMが流れていたのだ。 自分の顔をマジマジと見たいと思うほどナルシストでもないので、欠伸をしながらポチポチとチャンネルを変える。 『その時くらいかなぁ?キレそうになるんは』 聞きなれた声に手を止めると、そこには相方の四宮剛が映し出されていた。 「なんやこれ?」 緩い喋り方に拍子抜けしながら観ていると、どうやら特番で相方が昔出たトーク番組の一部が流れているようだとわかった。 『あはは!フライングさせられそうになってキレそうなんですか?』 『高いところ嫌いやから』 『匂坂さんは平気なんですね』 『蒼衣はむしろ高いところが大好き』 それは紛れもなくオレへの悪口だった。
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