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しかし、
「ここを、こうすれば、この公式に成り立つから」
自習室で先輩からみっちりと数学の勉強を叩き込まれる私。
違う。これは私が望んいでた展開じゃない。いや、勉強教えてっていったのは私なんだけども。
そんな考えが頭をグルグルと展開しながら先輩の教授を受けていると、
「ちょっと叩き混み過ぎちゃったカナ? ちょっと、休憩しにいこうか?」
「あ、うん」
私と先輩は自習室から出て中庭のベンチへと座った。
あー、なかなか告白するチャンスが出来ない。このまま、一生おにいちゃんに好きと言えないのだろうかと、軽く落ち込んでいた。
「奈津ちゃん、さっきから元気ないみたいだけど何か悩みごとでもあるの? お兄ちゃんにいえることなら何でも言っていいんだよ?」
先輩はやっぱり私を妹のように接してくる。
ええい、こうなったら、自棄だ。
「実は……私、前々から好きな人がいるの」
「え? そうなの?」
先輩はビックリしたような顔で私を見た。
「その人は、すっごく優しくて頭もよくって、大好きな人なんだ。でも、その人になかなか告白できなくて困ってるの。どうしたらいいかな? おにいちゃん」
少し涙目で先輩の顔を見る。
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