5.

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結依にしても紗江子ときちんと会って会話をしたのが、その時が最初で最後だ。その姿を思い出して紗江子に詫びたいと思うが、それは完全にお門違いだろう。謝罪は胸に秘めるしかなかった。 蓮の登場で、両親に初めて不倫をしていたと言う話をした。さすがに全てを正直に告白する勇気はなく嘘を交える事になる。 高校生の頃からとは言えず、フランスで再会したことから話した。ずっと好きだったが、偶然の再会でやけぼっくいに火が点いたと結依が説明した。既婚者の蓮に佑葵を妊娠した事実を伝えられなかったと、蓮と並んで告白した。 蓮がどちらの子も成人するまでは面倒見ようと思っていた、妻とはつい最近別れた、と報告すると、両親は渋々ながら納得してくれた。 「もう、結依を泣かせるな」 智治はたった一言だけ言って、外へ出てしまった。母も眉間に皴を寄せながらも、結依が不幸でないならいいと言ってくれた。 そして。 結依はベッドに横たわる蓮の寝顔を見ていた。歳を重ねても蓮の綺麗な顔は変わらないと見惚れてしまう。 「……ん……」 蓮が僅かに身じろぎして、目を覚ました。 「……もう……また人の寝顔、見てたな……」 眠そうな声で、寝ぼけた目を裸の腕で隠した。     
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