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初めて誰かと肌を合わせたのがいくつだったのか、もう覚えてはいない。
大人っぽい見た目や雰囲気から、ある種の人を惹きつけてしまうことを理解したのはわりと早い時期だったと思う。
友達のお姉さんたちに囲まれて卒業したのを初めとして、そこからの数はもう覚えていない。愛情なんてなくても体が機能すればそういうことはできる。それなりに気持ちもいいし、病気や妊娠さえ気を付けていれば何も悪いことはなかった。
「へー。見てたならまざればよかったのに」
「ばか。とにかくビックリして、でも足が動かなくて……」
二人だった体がひとつになって同じ動きをするのを不思議に思ってみていた、と御厨は困ったように笑いながら話した。
「……気づかなかったよ。悪かったな」
ヤってるほうは楽しくてもそれを見せられて不快に思う人も多いだろう。
「ううん……羨ましかった」
だが、御厨は思いがけな言葉を口にした。
「羨ましい?」
「前にさ、授業中に気持ちが悪くなったおれを蜂矢が保健室に運んでくれたこと覚えてる?」
急に御厨は話題を変えた。
「あったか?そんなこと」
「あったよ。ちょうどそれを見る何日か前」
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