* ベビーシッターの女*

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* ベビーシッターの女*

   「こんばんは、大丈夫ですか?」  ここは、町外れの小さな教会。信者は、少なく昼も夜も静かだ。  ここにお客があるのは、珍しい。男は、ボロボロの服で無精ヒゲを生やしてフラフラとやって来た。 「すみません・・・少し、休んでも?」 「どうぞ。よかったらお茶を淹れますよ。お客さんは、大歓迎です。」 「ありがとう、ございます。」 「どうしました?なにかお悩みごとですか?」  男の(ヤツ)れた姿がなんだか気に掛かる。 「実は、妻と子を・・・失って。」 「そうでしたか・・・お話しを、お訊きしましょう。いま、お茶を淹れて来ます。」  俯いて覇気もなく言う男の肩に手が乗っているのが一瞬見えた。奥にお茶を淹れに向かう。 「また、あんなのの話しを訊くの?」 「〝あんなの〟とは、ずいぶんな言い草だね。」 「だって、そうでしょ?」   
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