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「あぁ、カイ。ようやく帰ってきた。ジーラ殿も、御無事なようで、本当に良かった」
彼とジーラが連れ立ってトランシルヴァ城に戻るなり、門の前で何日も彼らの帰りを待っていたらしいアルカードと、背後に控えるランスロットが、心配そうな表情を浮かべながら出迎えてくれた。
「アルカード、帰るまでに何日もかかってしまい、済まなかったな」
「いいや。お前が出向いてくれてすぐ、キメラの大群が上空からいなくなった時に、もう命の心配はしていなかったさ」
彼が返すのに、歩み寄ってきたアルカードが多少疲れは出ているが、それでも爽やかに微笑みながら、軽快に肩に手を置く。
そうしてすぐ、表情を真面目なものへと切り替えた。
「カイ、帰ってきて早速で済まないのだが……。問題の解決は、可能なのだろうか?」
「あぁ。……えぇと。地下牢の場所は、何処だったかな」
すぐにでも解決出来ると力強く頷いてから、城を訪問した際から気になっていた場所への案内を促してみる。
彼もしょっちゅうとは言わないが、所用や仕事でトランシルヴァ王国へ訪ねる身とはいえ、さすがに地下牢の場所まで確認した事はなかった。
平和な国であるとされている、サウスパレス王国にもあるのはあるのだから、多少でも戦争の経験があるトランシルヴァ王国に、地下牢がない筈はない。
「地下牢……? 用があるのか……?」
そう判断しての言葉に、首を傾げながらも、アルカードが、視線だけでランスロットに説明を促す。
「あ、はい。御案内致します」
「あ、否。……出来れば私とジーラ殿の二人だけで行きたいのだ」
言いながら、先んじて地下牢へ足を向けようとするランスロットを、何故か彼が手で制する。
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