第0話 冲方渚(うぶかたなぎさ)

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「ねぇねぇ彼女?俺と付き合わない?」 「はい?」 「だから、俺と良い事しない?」 「お兄さん、視力大丈夫ですぅ?」 「えっ?」 「良く間違われるけど…僕、男ですよ?」 「へっ?…お・と・こ???」 「はい、男ですよ?女だと思ったんですか?」 そう聞いて男はそそくさと逃げる様に立ち去る、その後ろ姿に口元を押さえて含み笑いをする一見少女の様な子、冲方渚(うぶかたなぎさ) これは良くある彼の日常。 生まれつき周りの人から「可愛い女の子」と言う扱いをされて来たから良い加減慣れたけど、本音ではそう扱われるのが凄く嬉しいのです、何故なら僕の中には男と女が共存していてナンパされるのは抵抗ありでも普通に女の子扱いされてる時は共存している女の子の心が喜ぶからです。 最も顔立ちや声なんかは女の子みたいですけど身体は男の子(何故か胸は申し訳程度に膨らんでいますが)ですから裸にでもならなければ僕がそうである事は多分解りません。 そんな容姿ですから知らない男性からナンパされます、大概は今みたいに男だと言えば終わりますが…稀にしつこい人もいるので最終的には免許証を見せて諦めて貰います。 あ!これは原付の免許、乗る為に取った訳ではなく身分証代りになってくれるので色んな所で役に立ってますよ。 で、今はこの容姿を活かしアルバイトに行く為に歩いていただけなんですが、どーゆー訳が男性の視線を集めてしまい少し窮屈…そんなに注目される程可愛いとは思わないんだけど空気が重い。 引きつった笑顔がそれを表してる。 彼、冲方渚(うぶかたなぎさ)は、今年高校3年に進級して残り一年の高校生生活を謳歌する17歳、その容姿端麗な姿は人目を惹き付けて止まない。 だが、彼は心と身体で男と女が共存するそんな子である。
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