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私は、お祖母ちゃんに見つからない様に、台所の裏口から外へ出て、お父さんを待った。
暫くするとお父さんが来て
「お祖母さんには台所に居てもらいたけど、ずっと台所に居ろって言っても難しいかもな(笑」
と言った。
「だって、お祖母ちゃんに理由を言ってないでしょ?」
「ああ。余計な事を言う必要ないだろ」
「うん……まぁね」
「もう揃ったのか?」
「揃ってるよ。お兄ちゃんは部屋に居るけど」
「そうか。
じゃあ、さっさと済ませよう」
私は、お父さんと一緒に和室へ向かった。
昔から私は男関係で困ると、お父さんは助けてくれる。
でも、毎回「何で、もっと早く言わないんだ」と注意される。
いつも私は「事後報告」ばかりだからだ。
自分で何とかしようとしても結局、最後の一歩で独りで解決出来なくて最後にお父さんへ頼む事が多かった。
だから「事後報告」になってしまう。
今は、お父さんが居てくれて良かったと痛感する。
社会人になるまでは、煩い父親としか思えない存在だったから高校を卒業と同時に、お祖母ちゃん宅へ引っ越した。
両親と一緒に住んで居たく無かったからだ。
でも、結局また頼っている。
最終的に頼れるのが父親だけだった。
私は兄妹の中で1番、厄介で不真面目で手を焼く娘なんだ。
誰かが言ってた。
「そういう子供って親は1番、可愛いんだって」
子供が居ない私には、理解は難しいよ。
お父さんが襖を開けた瞬間、我に返った。
目の前に飛び込んで来た光景に、思わず目を逸らしてしまった。
お義父さんとお義母さんと凖が並んで真剣な表情で正座して居たから。
お父さんが
「お待たせして」
と凖の家族の正面に座った。
私は、お父さんの右側に座った。
縁側の方からお義父さん、お義母さん、凖と正座して居た。
お父さんが長テーブルの真ん中に座ったから、私はお義父さんの正面になった。
お母さんが凖の正面。
お母さんは堅苦しい席が苦手な人間だ。
だから空気を和らげようとして世間話をする。
案の定、お母さんが
「道は混んでませんでした?」
と、どうでも言い事を話出す。
そして、お父さんに注意されるのだ。
「お母さん、ちょっと黙ってて」
ほらね。
お祖母ちゃんが
「お菓子でもどうぞ」
と言ったら、お父さんが
「お祖母さん。
今、ゴミ燃ししてたから他に燃やす物があったら今のうちに焼却炉に入れといてよ」
「ああ、そうかい。
火は危ないから見に行くよ」
お父さんは上手くお祖母ちゃんを部屋から出した。
「それで……。
謝罪って何の謝罪ですかね?蓮華から話は聞いてるけどお宅らの意見も聞かないと」
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