第5章 新しい人生

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 熱気が人々と共に去って行く。余韻の中、私は尊美くんに言われているとおり、その場で彼を待った。人々が去っていく中、ステージのカーテンの脇から現れた彼は笑顔で近付いてきて、後ろに隠し持っていた小さなブーケを私にくれた。  白と青と赤の薔薇が束ねられた、とても可愛らしい花束。 「ありがとう!」 「まだ、早いよ」  そういうと彼は片膝をついて。  今度は皮製のしろっぽい箱を私の前に翳して、パカッと音をたてて開いた。  目を疑いそうなほどに大粒の、ダイヤモンド…。 「けじめだから。真央、受け取ってくれる?」  きりっとした凛々しい顔で、そう言われて受け取らないわけがない。周囲からまばらな拍手が送られる。見渡すと、その中にいつかの女性が混じっていた。今日は可愛らしい笑顔で、力いっぱいに拍手を送ってくれている。 「……遅くなったけど、これを付けたらもう本当に君は俺と離れられなくなる」 「ええ、わかってるわ」 「俺と、永遠にそばにいてくれ。真央」 「もちろんよ」  指輪をはめられて、抱きしめ合った。
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