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熱気が人々と共に去って行く。余韻の中、私は尊美くんに言われているとおり、その場で彼を待った。人々が去っていく中、ステージのカーテンの脇から現れた彼は笑顔で近付いてきて、後ろに隠し持っていた小さなブーケを私にくれた。
白と青と赤の薔薇が束ねられた、とても可愛らしい花束。
「ありがとう!」
「まだ、早いよ」
そういうと彼は片膝をついて。
今度は皮製のしろっぽい箱を私の前に翳して、パカッと音をたてて開いた。
目を疑いそうなほどに大粒の、ダイヤモンド…。
「けじめだから。真央、受け取ってくれる?」
きりっとした凛々しい顔で、そう言われて受け取らないわけがない。周囲からまばらな拍手が送られる。見渡すと、その中にいつかの女性が混じっていた。今日は可愛らしい笑顔で、力いっぱいに拍手を送ってくれている。
「……遅くなったけど、これを付けたらもう本当に君は俺と離れられなくなる」
「ええ、わかってるわ」
「俺と、永遠にそばにいてくれ。真央」
「もちろんよ」
指輪をはめられて、抱きしめ合った。
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