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「あのね、今日じゃなくて良いから、朗読して欲しい本があるの」
夏鈴は待ち焦がれたように顔を近付けてきて、囁いた。俺は唇を眺めながら舌なめずりをすると、夏鈴から吸い付いてくる。俺の首から後頭部に手を添えて自分から積極的に小さな舌を絡ませてきた。ゾクゾクするぐらいに可愛い花嫁の熱いキスを堪能する。夏鈴がしたいようなキスをしてやりたくなる。
「晴馬がカッコ良過ぎて、別人みたい…」
「王子様に見える?」
「……王子様の皮を被った狼に見える……」
「狼……な、俺は好き?」
「さっきのは…、すっごくセクシーだったよ…」
蕩けた顔でそんなことを言ってくれちゃう夏鈴の小さな頭を、両手で包み込んだ。
「ナレーション……俺がんばったんだよ。声優みたいに声色作って役作りして、楽しかったけどね」
「その恰好で、あのカッコいい声で…囁かれてるだけでもう…溶けそう……」
夏鈴は目を閉じて俺に身を委ねてきた。まだ明るいけど、抱かれたいってことで良いんだよな?
この服を脱ぐのがまだ勿体ない気もする。化粧も髪型もすべてが特別な日だから、まだこの夢から醒めたくない気もして…。
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