竜妃《りゅうき》と私と私の得た青

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竜妃《りゅうき》と私と私の得た青

 竜妃の誘いはいつだって強引でうっとおしく、私の青にまみれた風景を一変させようと働きかけてくる。 「今宵、本部隊は清瀬まで行軍演習を行うこととした」  青色の夕陽を背にして、今日も竜姫は突飛な決定事項を私に告げた。  まるで戦場にでも行くような、重々しい口調だ。 「なぜ清瀬」  私が聞くと、 「貴様の実家に蒼天の巨竜が出現した時のことを想定しなければならないからだ」 「気をつけてね」 「我とともに来たるべし」 「帰る」 「貴様の青き秘密が大学中にばらまかれてもよいのか?」  竜妃は私を指差し、幾度となく使ってきた決め台詞を言い放った。 「貴様の常軌を逸した青い部屋は我が左腕に光る藍鉄の黙示録の中に」 「スマホって言え」 「いつでも拡散可能な状態で記録されているのだ」  竜妃はどこから見てもスマホでしかない端末を天にかざして胸を張った。  彼女にそう迫られると断ることができない。  私の青い部屋のことが竜妃以外の人間に露見するのは耐えがたい。  そうでなくても細かい神経をすり減らして大学に通っているのだから、これ以上のストレッサーを学び舎に解き放つわけにはいかない。  蒼天の巨竜というのはよく分からないが、私は仕方なく今夜の地元行きを承諾することにした。
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