ブループラネット

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ブループラネット

 まだほんの少し青臭さが残る僕は、今年で16歳。田舎の小さくも大きくもない農家で育っているところだ。都会にも出たことがない僕は、きっといつまでたっても青臭いままだ。都会の人は光り輝く夜景や、嘘くさく灯しているライトに夢中で、きっと畑で芋ほりをしたことも、トマトを苗から育てたことも、とうもろこしをもいだこともないのだろう。  ”とうもろこし”この響きすら僕にとってはこじゃれた響きだ。長ったらしくおしゃれに6文字も使って。人の名前だって、苗字と名前短い方で呼びたくなるものなのに、食べ物に対して6文字も使うなんて都会はやっぱり、無駄が多い所なんじゃないかと思った。 「と! う! も! ろ! こ! し!」 演劇部の発声練習みたいに活舌良く、大きく口を開けわざとらしく声にした。我ながら素晴らしい発声ができたんじゃないかと思い、演劇部に入ればすぐにエース級の発声だと褒められ、主役の座をもらえるかもしれないと自惚れていると、母さんが笑いながら「早く収穫手伝いなさいよ」と急かしてきた。 「うちにあるのは、トウモロコシなんておしゃれなものじゃなくて田舎くさいとうきびだけだからね」     
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