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マリッジブルー
結婚式を一週間後に控えた私は、ウエディングドレスの前でため息をついている。
それは、一か月前のことだった。
結婚式の招待状を送っていた友人の南海からの、一本の電話。
「結婚するんだって?おめでとう!」
南海とは、さほど親友というほどではないが、友人の少ない私は、パートナーに比べて圧倒的に招待客が少なく、つり合いが取れないと思い、いわゆる人数合わせのために招待状を送ったのだ。
「ありがとう。結婚式、来てくれるんでしょ?」
「もちろんだよ。返事、送ったからね。ご招待、ありがとう。正直、綾乃から結婚式の招待状が来るなんて思ってもみなかったから。」
「なんで?友達じゃん。呼ぶに決まってるよ。」
そう言いながらも、私は内心、南海のことは半分見下していた。
南海は、学生時代から割と気の合うほうだったけど、彼女は少し自由なところがあって、授業は割とよくサボったし、自分より容姿は劣るが、割と社交的なほうだったので、男受けは良かった。
そんな南海が、どうして真面目で大人し目の私を気に入って、ついて回ったのか、いまだによくわからない。私なりの解釈で、人は自分に無いものを求めるのだと思っていた。
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