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第二話 都より人来たる
おじいさんに拾われたカグとヤヒメは、アッという間に育っていきました。
10日もすると赤子は少女となり、まるで1日で1年経ったかのようでした。
そうやって歳をとると、最初は双子のようにそっくりだった2人ですが、今や似ても似つかない姿に成長していました。
カグの方は、それはもう美しくなりました。
涼しげな目元、きめ細やかで透明感のある肌、細く小さな唇。
そして宝石でも散りばめたかのように輝く長い髪。
片田舎の村では何よりも目立ってしまい、この辺りの村の男衆で知らぬものは居ないという程です。
ですが、あくまでも良いのは見た目ばかり。
カグは普通の少女とは比べ物にならないくらいに破天荒でした。
「じいちゃーん! 見て見てぇ!」
カグの大きな声が狭い家に響きます。
何事かと思っておじいさんが見ると、カグの背中に巨大なヒグマが居るではありませんか。
「これカグや。またそんなものを拾って来たのかい。家じゃ飼えないよ」
「じいちゃん、これ飼うんじゃないの。晩御飯にするの」
「それも要らないぞ。昨日も大イノシシを取ってきてくれたじゃないか。それだけでも一月は食っていけるよ」
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