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第一話 竹割り老人
とある山奥に小さな村がありました。
そこに住む人たち毎日は豊かではありませんが、山の恵みや田畑の実りに感謝しつつ、慎ましく暮らしていました。
それは村外れにある小川の側に住む、猟師のおじいさんも同じです。
おじいさんは、おばあさんと2人暮らし。
これまでに子宝には恵まれず、侘しさを感じつつも、仲睦まじく暮らしていたそうな。
「うーん。今日は良い天気じゃ」
おじいさんは自宅の庭で、お天道様を見ながらそう言いました。
曲がりかけた腰に両手を添えて伸び、大きく息を吐き出しました。
「こんな日は、なんというか……大層なお宝が竹藪(たけやぶ)で見つかりそうな気がするのう」
おじいさんは夢想家でした。
突拍子もない事を言い出すのはいつもの事なのです。
普段からそんな調子なので、真面目に取り合う人はなく、長年連れ添ったおばあさんも聞き流すのでした。
「おじいさんや。薪がもう無いので、取ってきては貰えませんか」
おじいさんの話を側で聞いていたにも関わらず、おばあさんは現実的な言葉を返しました。
女性というのはいつの時代でも地に足が着いているものなのです。
「おう薪か。あいわかった。これより竹を取って参ろう」
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