どうしよう。

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 ――2日目。やっぱり昨日と同じ部屋で目が覚める。  眩しい謎の灯りが部屋中に満ちていた。割とさわやかな朝感を醸し出している所が腑に落ちない。  昨日と同じように幽霊が入ってきて、今日はご飯と卵焼き、何かのおひたしにみそ汁をテーブルに置いた。幽霊は別に朝はパンと決めている訳ではないらしい。っていうか食べるんだろうか。  相変わらず意味は分からないけれど食事を終え、幽霊が去っていくのを見届ける。  数分ほど経ってから、昨夜発見した穴を探す。  ここだろうと思う位置に手を這わせると、確かにくぼみに触れた。このままだと見る事は出来ないから、椅子を持ってきてその上に上った。もちろん靴は脱いでいる。  ……青い。  覗き込んだその穴の向こうは青かった。廃屋に入る前に見上げたあの夏空を思い出す。木々や建物に遮られることのない空の見える場所にあるのだろうか。  だとしたら、この壁のどこかさえ壊してしまえば。ここから出られる。そう思って、とりあえず思い切り殴ってみた。壊れない。体当たりしてみても駄目だった。まあそりゃそうか。  向こうの音が割と聞こえたりするし、薄いと思ったけれど壁は壁だった。どうしようか考えこむ前に、とりあえず椅子の位置を元に戻した。そして今度はソファーに座って思索する。……座り心地は結構良い。  壁を壊すには、ハンマーでもあればいいんだろうけれど……そんなものはもちろん無い。だから代わりになりそうなものを探す。  ある程度は重さがあった方がいいだろう。もちろん強度は十分になければ壊れてしまう。それでもって俺の扱えるサイズ……ベッドとソファーは無理だな。テーブルも、向こうの大きいのは無理。  残ったのは椅子か。こっちの小さいテーブルか。それ以外だと、俺の持っていた財布だけだ。お札じゃ何も思いつかないし……地道に硬貨で削ってみるとか?  早速、端っこのあんまり目立たない所で試してみることにした。  こり、こり、音も地味だ。  削りカスが床に落ちる。壁にはわずかな段差が出来た。いける気がする。ただしどれだけ時間がかかるかは分からない。  全体的に薄くした後、椅子かテーブルでぶち破るとか?とりあえず様子を見つつ、その方向で行ってみよう、うん。そう決めた頃、また昼になったらしい。中央当たりの壁から白い足が生えた。
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