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意外に、大学から近かった。実際食べてみるとパンケーキは、思っていた以上に甘かった。
中村桜はよく笑う。思いついたことを次々楽しそうに話す。話題は、幼い頃の思い出が中心だった。僕は相槌を打つくらいだったが、聞いているだけで楽しかった。
最後に、中村桜に謝られた。
「松下君ってお父さんに似てるから、いろんなことを話したくなって」
中村桜の父親は、彼女が生まれる少し前に事故で亡くなったそうで、写真でしかみたことがないと言う。向けられる好意に抵抗感がなかったのはそういうことだったのかと納得した。
「僕で良かったら、いつでも話を聞くよ」
中村桜が嬉しそうに笑った。
僕は『父親の気持ち』が少しわかった気がした。
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