6.

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健斗が脇から覗き込んで言った。 「俺の手当てもしろ!」 天之御中主神が喚く。 「それくらい自力で治しなさいませ、あなたは神様でしょう。それよりも妙齢の女性の手に傷がある方が大問題です」 「それはまあ、そうだが……」 「そこです!」 突然、狐が大きな声を上げた。 「なんだ、狐」 天之御中主神が面倒そうに聞き返す。 「顕現しておるとはいえ、神が怪我をするなど、しかも血を流すなどあるのでしょうか!?」 言われて皆で顔を見合わせる。 「俺が鈍くさいと言いたいのか」 天之御中主神は目を座らせて訴えた。 「そうではありませぬ! あなたさまは今は霊体と肉体の間の存在だと言いたいのです! 霊体は痛みも感じなければ、血など流れていない筈!」 「──しかし、現に俺は怪我をした、血も出ている」 「確かに、こんなにも長い時間顕現されている神の存在を私は知りません! あなた様の身に何が起きているのです!?」 「さあ。そうは言われても……」 呟いてから、天之御中主神はぶるりと体を震わせ、裸のままの自身の体を抱き締めた。 「(さむ)……っ」 慌てて白衣(しらぎぬ)に袖を通して、前を合わせる。 「──寒い?」 思わず明香里は呟いた。 「え? ああ、寒い……」     
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