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「……は? アニメ化……?」
パソコンに向かっていた青年が、本棚にぎっしり詰まった書籍に囲まれ、足の踏み場もないくらい山積みされた、本に埋もれている場所から顔を上げる。
ノンフレームの眼鏡をかけて、緩い黒髪猫毛を揺らす様はどことなく幼い。
だが、確実に達観はしたような、どこか冷めた表情を浮かべる青年は、しばらく止めていた動作を、長いため息と共に再開させる。
「え? って、ちょっと先生? いや、まさかの無反応って。もう少し何らかの反応して下さいよ」
対峙しているのは、綺麗に染まったアッシュブラウンの長髪を、ポニーテールにまとめている女性だ。
まん丸な栗色の瞳を更にまん丸にさせて、困ったように細い眉を潜ませる女性に、パソコンを操る手も止めずに青年が返す。
「……あの作品のアニメ化は、賛成していないです」
「喜ぶところ。普通喜ぶところです、先生」
焦った様子の女性が反論しても、青年は喜ぶどころか迷惑そうに息を吐く。
チェックのシャツに、クリーム色のカーディガンを羽織り、ブラックのズボンを履いた青年が、冷ややかな視線を向ける。
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