3人が本棚に入れています
本棚に追加
/28ページ
確かに一足飛びではあったが、アレの見解は間違いではなかった。
このままでベトは、死ぬ。
間違いなく。
スバルのように要領よく、うまいところだけとってトンズラという真似をベトは決してしない。
一番の死地に一番に赴き、そして大暴れする。
あんなやり方では、いかに戦いの才があろうと不意打ちは避けられない。
事実アレがきた二日目、一度死にかけている。
なによりベトが、どう考えても死のうと考えている。
自責の念によって。
「……わたしに、止められますか?」
その言葉には、自信の欠片も見受けられなかった。
そこにスバルは、アレという少女の矛盾を垣間見る。
世界を変えると言っておきながら、それ以外のことにはまったく奥手。
自信も意思もない、その極端な在り方。
よく似ている。
ほとんど直感的に、スバルは思った。
「止められるか止められないかじゃない、止めて欲しいんだ」
どこかで聞いたような台詞に、アレはハッとする。
スバルは出来るだけのどこまでも優しい笑顔で、じっとアレを見つめる。
「嬢ちゃんなら、できそうな気がする……いや違うな、嬢ちゃんにしか出来ないと思う。言い方は悪いが、嬢ちゃんが出来なくちゃ誰にも出来んだろう。だから嬢ちゃんがダメなら、わしも諦める。だから、頼まれてくれんかな?」
最初のコメントを投稿しよう!