1話

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「ぁ……、私、生きてる……?」 ふと気付くと、私は学園の廊下に1人居た。 胸に剣は刺さっていないし、あの時口中に広がった血の味もしない。 まるで、全てが悪い夢であったようだ。  けれど、心は覚えている。 あの恐怖や苦しみ、絶望を。 ふと横にある窓を覗くと、外には多くの初々しい少年少女達。 胸に付けられた花から、今日が入学式だと分かる。 入学式など半年以上前に終えたというのに。 何故? あれは何だったの? 夢? 私は本当に生きているの? 心臓がドクドクと鳴っている。 汗が止まらない。 今すぐに泣き出して、叫びだしてしまいたい。 1度経験した死への恐怖が、私を苦しめる。 死にたくない。 死にたくない。 でも、あれが夢なら──── 「わたくし、は、まだ間に合う……?」 私があの女に何もしななければ、彼等が私を憎悪する事も私が死ぬ事もないのだと、この時私はそんな希望にすがった。
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