愛撫 ※

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 朝、テーブルの上のチョコレートはすべてなくなっていた。  まさか、武将が食べてしまったのだろうか。そうだとしたら大変だ。 「おい、石井」  そう思えば石井と武将の姿がない。 「やっぱり武将か。病院に行ったんだな」  サイドテーブルに置きっぱなしのスマートフォンを取りに向かい、石井へと連絡を入れる。  すると玄関の方から着信音が聞こえてそちらへと向かうと、尻尾を振りながら武将が出迎えてくれる。 「石井、武将……」  なんともなさそうな姿をみて安堵する。 「朝ご飯を買いに。あ、もしかして帰ったと思ったんですか?」  ニヤニヤとしている石井をみて、こんな時ばかり表情を素直にだしているのがむかついて八つ当たりとばかりに頭を叩く。 「チョコレートが食ってあったから、武将が食べたのかと思ったんだよ」 「あぁ、あれは俺です」  あっけらかんとした表情で言われた。 「え、甘い物、平気なの」 「はい。かなり好きな方です」  いつも菓子を食べないからてっきり苦手なのだと思っていた。
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