178人が本棚に入れています
本棚に追加
/45ページ
慮外
後輩の石井孝平は愛想がなくて素っ気ない。
容姿が良くそこに笑顔の一つでも浮かべれば、女子が放っておかないものを、同じ男として勿体ないと思ってしまう。
同じような背格好をしているものの、顔の作りには大分差がある。
いわゆる平凡な日本人。それが大浜智紀だ。
彼は自分と同じ中途採用で、社長である柴の甥だ。大浜は教育係として三ヶ月間、面倒を見る事となった。
普段があれだけに仕事もやりにくいのではと思っていたが、それはまた別だった。
人と話をするときは目線を合わせ背筋を伸ばす。話しもきちんと聞くし、解らない事があれば素直に聞いてくる。
しかもよく目が合うのだが、すぐに向こうから逸らされてしまう。
仕事でならば視線を合わせる事も話をすることもできるというのに、普段もそうすることができれば、きっと表情のない顔にも変化がでてくるのではないだろか。
最初のコメントを投稿しよう!