決戦の土曜日 part2

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睨まれたら、大人しく目を逸らして黙るという選択は長年の天敵生活から導き出した答えだ。 何かを言えば、それが3倍、5倍、いや10倍くらいの皮肉になって返される気がする。 微妙な沈黙と、直樹サンがカップをテーブルに置く音。 「おい」 低い声で呼びかけられて、いつかのように『小池』などと返したら怒られそうでそうっと目線と顔をお隣に座る直樹サンへ向ける。 ニヤリと笑った顔が怖い。 ゾクリと背筋が冷えた。 素早い動きで直樹サンの手が動き、思わず殴られるのかと思って防御の構えを取ったのだけど、動いた直樹サンの手は私の顔面ではなく後頭部にまわされた。 両腕を顔の前で揃えた鉄壁のガードの隙間をそうっと開けた瞬間に後頭部にまわった手ではない方の手で片腕を掴まれた後に引っ張られて、なし崩しに鉄壁の顔面ガードが剥がれてしまった。 気がつけば、直樹サンの顔面が至近距離に迫り唇を奪われた。 やっ、やばい。 これ、らめぇな小説にあったシーンと一緒だっ! ソファーの上で軽くのしかかられるような態勢でのディープベロベロキス。 私の記憶が確かならば、黒執事がお嬢様に男女のアレコレの手ほどきをするという内容だったはず。 まずは、軽いキスから。 唇と唇を軽く重ねたり向きを変えたりしながら楽しむとかなんとか。 そのあとは、もうちょっと長めに唇を重ねつつ、腕や背中を撫でたりするのでは……。 ちょっ、同じだよっ! きっと、今、私と直樹サンの頭の中で同じ らめぇーーーーーーーーっ!!! な小説の内容が流れているはず。 いいぞいいぞ、この線で責めたらいいんだ。 調教の二重構造。 一番好きならめぇーーーーーーーーっ!!! なシーンのページメモの詰まったお気に入り濡れ場ノートを特別にコピーして見せてあげたら、直樹サンが私好みのS男になってくれること間違いなし!
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