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涼しい顔(安定の出汁顔)でコーヒーを啜り続ける直樹サンの様子を引き続き観察しつつ、迂闊なことを口に出さないようにお口にチャックを意識する。
このままだと、頭の中で沸き上がる
らめぇーーーーーーーーっ!!!
な、あれこれを垂れ流して、私の性欲というか肉欲というか愛欲というか、欲望の強さを露呈してしまいそうである。
直樹サンがそれでドン引きするのならば、付き合うことは無理だなと思うものの、ゆっくりと私の欲望色に直樹サンを染めるという手もないわけではない。
いわゆる調教だ。
もちろん、私が調教される側になるのが理想だから、私の希望に沿うようなS男に直樹サンを調教しなければならないという調教の二重構造!
まるでDNAの二重らせん構造のように高尚な気がしてきた。
大事なことなのでもう1回!
調教の二重構造!
「碧ちゃん」
「ヒィッ! 調教の二重構造なんて言ってないよね!?」
「はっ? なに? 調教の二重構造?」
し、しまった!
口に出してなかったはずなのに、口に出してしまった!!!
「なんでもないよ、DNAの二重らせん構造の間違いだったから☆」
誤魔化せたかどうかは微妙だけど、首を傾げつつもそれ以上の突っ込みをしてこない直樹サン、グッジョブ!
首を傾げた後、コーヒーを飲み終わったらしい直樹サンが私のコーヒーの残り具合をチラ見したのを私もチラ見。
まさか間接キス希望で私の口をつけたコーヒーカップに口をつけたいという、いささか変態的な欲求と戦っているのだろうか……。
こわっ!!!
でも、私だって中学時代には仄かな恋心を寄せる相手のリコーダーを咥えてみたいという欲求がなかったわけじゃないし……。
大人になってからは、もっとねっとりした欲求でいっぱいなわけだし……。
そっとカップを直樹サンに差し出した。
「はっ?」
「えっ? これが飲みたいからジッと見たんだよね?」
「いや違うけど?」
「違うの? 間接キス希望じゃないの?」
「なんで間接キスが希望なんだよ! どうせなら本物の碧ちゃんとベロチュー希望だよ!」
怒ったように言いつつ、私の差し出したコーヒーを飲み干した様子に
「やっぱり間接キスしたいんじゃんっ☆」
と言ったら睨まれた。
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