エピソード1 旅人

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「あ、そうだよ。どんなビジネスがあるの?」 お父さんの疑問に、カナは乗っかります。 「ああ……」 青年は観念した様に、ようやく語り出しました。 「オレ、この男を探してるんッス」 そう言って青年は、懐から折りたたまれた紙を取り出しました。 それを広げて、カナとお父さんに見せます。 「これは……手配書!?」 手配書。 悪質な犯罪者や村々を襲う略奪者の情報を記した書類で、記された者を捕獲すれば懸賞金を貰う事が出来ます。 「懸賞金100万バグ、『ハサミのアルウィグ』。この村の近くに潜伏してるって情報を手に入れて、オレはこの村に来たって訳なんスよ」 青年は得意げに語り出しました。 「そうすると君は、冒険者という訳か」 「まあ、そうなるかな」 「懸賞金が目当ての、賞金稼ぎという訳か……」 「ああ」 しかし青年を見るお父さんの表情は、見る見るうちに険しくなって行きました。 まるで汚い物でも見るような、そんな表情に変わってしまったのです。
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